新羅へ

この前はありがたくもない手紙をどうもありがとう。
君はセルティと月見に行ったのか。
でも、その様子を克明に記した分厚い記録をよこすのはやめてほしいなぁ。
ほとんどの内容が惚気なんだから、読んでいるこっちは胸やけがするよ。
まぁ、君とセルティが元気なようでよかったさ。

…え？　俺からそんな台詞が聞けるなんて、どこかおかしいんじゃないかって？
失礼しちゃうなぁ。頭のねじがぶっ飛んでる闇医者からそんなこといわれたくないよ。
俺は健康そのものだ。問題なのは…やっぱりシズちゃんのほうだね。
まだ記憶が戻りそうにない。
おまけに俺以外の人間を見ると取り乱すときているから、もうお手上げだ。
悪いけど、いつもの薬をもう一箱送ってくれないか。

そういえば、君も高校時代のことを覚えていたとは意外だったな。
でもからかうのはやめてくれ。
あの時の台詞には、君の言うような意図は含まれていない。
ただ事実を言ったまでだ。
どうでもいいことを勘ぐっていないでさ、君は運び屋のことだけ考えていればいいんだよ。
ああ、でもこの前のような惚気は勘弁だから。

…まぁ、たまにだったら、聞いてやらないこともないけどね。

10月12日　折原臨也